家相や風水の説明の中には、必ず「気の流れ」「気の通り道」「運気」など「気」に関する言葉があります。このページでは「気」について、「何を指しているのか」「どうとらえて行けばよいのか」「気を自分に活かす方法」を解説していきます。

「気」とは「生命力」

「気」の概念が生まれたのは、人類が農耕を始めたころと考えられています。農作物を育てるにあたって、雨季や乾季など、人間にはどうしてもコントロールができない状況になることがありました。そのとき自分を超える大きな自然の力があることを知ることになりました。次第に人々は季節の移り変わりに気づき、暦を整えていったのです。

暦を整える過程で、中東やインドでは自然の偉大な力を「神や仏」として人格化し、崇拝の対象としました。これが宗教の始まりとされています。しかし、中国ではその偉大な力を人格化せず、「気」ととらえました。

宇宙から発生した「気」が、地球に注がれ、そこに生きる生命に影響を与えると、中国では考えたのです。つまり、中国の人々は誰か特定の存在をあがめるのではなく、人知を超える自然界の大きな力そのものを崇拝しました。

宇宙からの采配によって、私たちは生きるエネルギーを与えられていると考えたのです。そのため「気」を現代的に表現するなら、「生命力」といい変えることもできます。

「気」は3種類に分けられる

偉大な力である「気=生命力」を、中国の人々は3種類に分けて考えました。どのように分けたのか見ていきましょう。

天から与えられる気(十干)

まず、宇宙から注がれるエネルギーを「天の気」としました。これは現代では天候をさす「天気」という言葉で浸透しています。

太陽や月などをはじめとする天体の動きによる「日時」「気候」「天候」を予測し、農作物を育てたり、日常生活を快適に過ごしたりするために「天の気」を活用しました。

暦上ではいつどのような性質を持つ気が、宇宙から地球に降り注いでいるのかを「十干(じっかん)」で表しています。十干は「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」の10種類です。たとえば「甲(きのえ)」の年は、かたい殻を破って何かが始まるエネルギーに満たされる年、「乙(きのと)」の年は、甲の年に始まった物事が、障害にぶつかりながらも伸びていく年などと伝えています。

大地から与えられる気(十二支)

天から降り注ぐエネルギーを受けて動き出す大地のエネルギーを「地の気」としました。山、川、平野、谷、湖などの周辺環境や土地の形状、高低差などから「地の気」をみていきます。地球の大地の上に建てられている家は、この「地の気」からの影響が大きいと考えるのです。

地の気を暦上では、十二支で表しています。「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」は動物ではなく、それぞれの方位にある大地のエネルギーの様子を表しているのです。

たとえば「丑」の方位(北東60度の範囲のうち北寄り30度)は、「寅」の方位(北東60度の範囲のうち東寄りの30度)から立ち上がった気を紐で縛って納める場所となります。この場所がコンクリートですべて埋められていると、大地が呼吸できないため実行力に欠けてしまいます。

人の気を左右する気(九星)

そしてもう一つ、人間の持つ気を「人の気」とします。現代では身近な言葉となっている「人気」は、この「人の気」が語源です。

宇宙から降り注ぐ気を受けて、大地が動き出し、その後人へと影響が及びます。人の動きや世の中の雰囲気がどのような年になるのかを「一白水星、二黒土星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、六白金星、七赤金星、八白土星、九紫火星」の九星でみていくのです。たとえば三碧木星の年は、新製品の発売が多く、地震や雷が多い年になります。

また世の中の流れとは別に、個人が生まれ持つ人の気の種類があります。その人が生まれてはじめて息を吸い込んだときに、この世に満ちている気の種類で決まるものです。つまり、その人自身の持つエネルギーを生年月日で判断していきます。また、名前も「人の気」に影響を与えると考えられています。

この「天の気」「地の気」「人の気」と呼ばれる3種類の気をまとめて「天地人(てんちじん)」と表現することもあります。家相や風水では、天地人すべての気を自分に取り込み、整えることが人生を好転させていく秘訣と考えます。

引っ越し方位と気の活用

家相や風水では、天地人の3つの気のコラボレーションを元に「いつどこへ引っ越すのか」という移動方位の良し悪しを判断していきます。引っ越しの際には、家族全員にとってベストなタイミングを計らないと、人生が悪くなってしまうことがあるのです。

引っ越しの際に活用するこの3種類の気の流れは、毎年、毎月、毎日変化します。毎年変わるものを「年盤(ねんばん)」といい、その年1年間変わりません。毎月変わるものを「月盤(つきばん・げつばん)」といいます。毎日変わるのが「日盤(ひばん・にちばん)」です。

引っ越しの方位とタイミングが悪いと、引っ越したとたんに事件や事故に巻き込まれたり、病気やけがに見舞われたりしてしまいます。年盤の吉凶は60年、月盤の吉凶は5年、日盤の吉凶はその日限りの影響力があります。

悪いタイミングで凶方位へ引っ越すと、せっかく心機一転、色々な物事に前向きに取り組もうと思っていたのに、ことごとくうまくいかなかったり、一家離散になったりするのです。いいタイミングで良い方位に引っ越せると、それまでの苦労が解け、明るく楽しい生活となります。

家相とは日本独自の思想

「気=生命力」ととらえる考え方は、日本と中国にある概念であり、東洋思想独特の文化です。

日本語には、「気持ち」「気分」「気配」「元気」「勇気」「天気」「運気」など、「気」と付く言葉がたくさんあります。これはいかに日本人が「見えないけれど、自然界に確実に存在する大きな力を信じ、大切にして生活してきたか」を表しているといえるでしょう。

このように、自然とともに生活してきた経験に基づく知恵を集め、体系化したものが家相や風水です。

中国発祥の「風水」と、日本で発展した「家相」は、いずれも北半球を中心に広がった思想です。家相や風水が、方位の北を軸に判断していくことに対し、「南半球ではどうなのか」などと異議を唱える人がいます。しかしもともと東洋独自の考え方なので、ほかの地域に当てはめた事例が無くて当然です。

ただ、どうしてもこの家相や風水の思想を南半球で応用したい場合には、北と南を逆に考えることになるでしょう。

自分の生活に「気」活かすには

「気」には天地人の3種類があると解説しましたが、自分の生活の中で「気=生命力」を活かすにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは、「生活」という言葉から説明していきます。

あなたが、もっと良い人生を歩みたいと思うとき、あなたの内側からは「生きようとする力や思い」が生まれます。これを「生気(しょうき)」と呼びます。自分の中から生まれる力なので、「内気(ないき)」や「自力(じりき)」ともいいます。

自ら生きようとすると、あなたを活かそうとする気「活気(かっき)」が働いてきます。

例えば、「こうしたい」「こうなりたい」と強く思うと、タイミングよく必要な出来事やその道に詳しい人との出会いが訪れた経験はありませんか? これは「天の気」の力です。

また、周囲の人たちや家族から、援助があったり、応援してもらえるようになったります。これは「地の気」の力です。周囲の応援が「地の気」に属する理由は、あなたが生きている土台だからです。あなたは現在まで、家族やたくさんの周囲の人たちに支えられてきたことでしょう。この自分以外の外から受ける力のことを「外気(がいき)」や「他力(たりき)」といいます。

このように、自分が意欲的に生きようとすると、上下や周囲からあなたを活かそうとする動きが起こってくるのです。このエネルギーの流れを「生活」といいます。

生きる意欲のない人に食べ物を差し出しても、受け取る気持ちと、食べる行動をしないと死んでしまいます。自分の中が、「生きる気」でいっぱいでなければ、偶然ともいえる出逢いやめぐり合わせとして現れる「天の気」も周りの人たちから得られる「地の気」も、活かす力を発動することができないのです。

スタートはいつも自分から出す生きようとする力である「生気」なのです。そのため、3種類の気を自分に取り込むポイントは、自分から「生きようとする力(気)」を発揮することです。そうすることで、天地人3種類の気を自分のものとして、活かすことができるようになります。

まとめ

このページでは、家相や風水を理解しようとしたときに必要となる「気」について解説をしてきました。

人知を超える大きな存在があると気付いた人々は、そのエネルギーを「気」ととらえたのです。そして、その大きな存在と共存共栄するために暦を整えました。毎年、毎月、毎日変わる気の流れを上手くとらえると、引っ越しで運気を上げることができます。引っ越しによって良い方向にも悪い方向にも人生がガラッと変わるのです。

引っ越しを検討しているのであれば、気の流れを活用して運気の上がる引っ越しになるようにタイミングを計りましょう。


家相(間取り)が変われば人生が好転する

これまで運がないと感じたり、どれだけ頑張ってもうまくいかなかったりすることはないでしょうか。

例えば仕事であれば、ブラック企業で働いていて収入や休みが少なく、労働時間が長いわりに給料は良くないことがあります。その場合、体が疲れ切っていて調子が悪いです。

また健康であれば、「脳梗塞になった」「がんと診断された」「ヘルニアになった」などを含め、何だか体調がすぐれないことがあります。

家族関係も大きな問題です。夫婦仲、息子、親、兄弟との関係が冷えていると家で過ごすプライベート時間が居心地の悪いものになります。他にも人間関係という意味では、上司・部下、同僚、ママ友、近所づきあいなども関わってきます。

こうした問題を抱えている人の家相・風水を私は長年みてきました。それらに共通することは、どれも家相が悪いということです。例えば仕事運のない人は「仕事で信頼されにくいとされる間取りの家」に住んでいます。健康に問題のある方は「健康を害しやすい家相の家」に住み続けています。

そこで家相(間取り)を変えれば、1年以内にそれまでの人生が好転するようになります。