家相や風水の本を開くと目にする言葉に「鬼門」「裏鬼門」があります。鬼門と呼ばれる北東方位は「災いのある方位」「水回りを置かないほうが良い方位」「玄関は避けるべき」などとされています。また裏鬼門と呼ばれる南西方位にも注意するように書かれているものがほとんどです。

なぜ、鬼門や裏鬼門はこのように嫌われるのでしょうか。このページでは、その根拠やどのように考えたら良いのかについて解説していきます。

鬼門(北東方位)を恐れるようになった経緯

なぜ「北東方位を鬼門と呼び、南西方位を裏鬼門と呼ぶのか」については、いろいろな説があります。

風水が日本に伝わった奈良時代の中国では、北東から異民族が攻めてきていました。その理由は、異民族たちの住む土地がやせた荒野だったためです。荒れ果てた土地では農耕がうまくいかず、豊かな土地を目指した結果、中国を攻めることになったのです。

鬼のように恐ろしい形相で異民族が攻めてきた方位が、中国からみると北東だったことから、北東方位を恐れ、中国の人びとは万里の長城などを作り防衛しました。

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歴代の皇帝が何代にもわたって万里の長城を築いたことを考えると、その脅威はかなりのものだったと予測できます。

ほかの説では、北東方位からの季節風がとても厳しく、農作物や人びとの暮らしに大きな悪影響を与えていたことを、鬼にたとえて、災い(=鬼)は北東方位から来ると考えていたとされています。

このような状況も絡み、風水が伝来した際に「北東方位は怖い」という思想も一緒に伝わったと考えられます。

日本で中国の鬼門思想が受け入れられたわけ

日本の気候や風土と中国の状況は同じとはいえません。それでも、北東を恐れ鬼門と呼ぶ思想が残っているのはなぜでしょうか。その理由は、方位の影響に対する考え方に共通点があったからです。それぞれの方位について、改めて考えてみましょう。

鬼門と呼ばれる北東はあまり日当たりが良くないため、湿気がたまりやすく、カビが生えやすい方位です。また、裏鬼門と呼ばれる南西は、西日があたって温度があがりすぎることで、物が腐りやすく環境が悪い方位です。

このような採光や風通しなどが原因で起こる悪い影響を実感していたため、北東(鬼門)や南西(裏鬼門)の考え方が日本でも受け入れられたと考えられます。

なぜ北東を鬼門と呼ぶのか

中国から伝わった土地の吉凶をみる「風水」の考え方が、日本で九星気学の思想と交わることで「家相」へと発展してきました。家相の考え方は日本が発祥の地であり、九星気学を理解していないと深く読み解くことができない学問です。

九星気学では方位を重要視します。360度ある方位のうち東西南北をそれぞれ30度とし、北東、東南、南西、北西の方位を60度と定めています。60度としている方位も細かく見る際には、30度に分けて考えていきます。

360度を30度に分けると12の方位ができます。その30度ずつに分けられた方位それぞれには、図のように担当する十二支が配置されています。北東の60度を担当する干支は「丑と寅」の2つです。

丑(うし)はツノを持つ動物、寅はキバを持つ動物です。地球上にツノとキバを両方持った動物は存在していません。しかし、ツノとキバを両方持ち合わせるとされるのが「鬼」です。

北東は丑と寅がいる方位=ツノとキバを両方持つ「鬼」がいる方位と考えられたのです。それに対して対面となる南西は裏鬼門と呼ばれるようになりました。

また北東の「寅」は土の中から気が生まれる方位で、「丑」は「紐」の意味合いがあり、寅から立ち上がった気が敷地の対面(裏鬼門と呼ぶ南西)にあたり、玄関から家の中を巡ったあとに戻る場所に当たります。このような意味合いから鬼門は「気門、生門、貴門」とも表現されるのです。

風水に鬼門の考え方はない

ここまで述べてきたように、30度ずつに干支が配置される家相の考え方によって、鬼門は生まれました。

しかし、360度を45度で均等に振り分ける風水の見方では、上記のような理由が説明できません。

そのため風水には鬼門の考え方はないのです。

気の切り替えとしての鬼門

また、十二支にはそれぞれ担当する月があります。子(12月)、丑(1月)、寅(2月)、卯(3月)、辰(4月)、巳(5月)、午(6月)、未(7月)、申(8月)、酉(9月)、戌(10月)、亥(11月)です。

九星気学は立春(2月4日)を一年のスタートとしています。寅は2月で「1年の始まり」であり、丑は1月で「1年の終わり」の月です。1年の切り替わりが丑と寅の間にあります。

また、九星気学では、2月~4月を春、5月~7月を夏、8月~10月を秋、11月~1月を冬としています。そのため冬から春の季節の切り替わりも丑と寅の間にあります。

さらに風水の考えでは、土地の吉凶を判断する際に東西南北をそれぞれ90度とし、4つの方位に分けて考えます。このとき北と西は高いほうがよく、南と東は低いほうがよいとしています。この土地の高低差による吉凶を分ける境界線(「運線」という)が北東(鬼門)と南西(裏鬼門)の中心をとおり、この境界線のことを鬼門線と呼ぶのです。


このように北東には「年の切り替わり」「季節の切り替わり」「土地の高低を判断する切り替わり」があることより、気の流れが激しい場所とされています。

さらに、北東と南西を貫く1本の線「運線」の上には、特に激しい気がめぐっていると考えらえています。大きく気が乱れることによる影響で、運線のライン上はモーターを使った電化製品を置くと壊れやすいため注意が必要です。

運線のライン上でなければ大丈夫なので、家の中央をしっかりと割り出し、運線が家のどこを走っているのかを確認し、少し位置を変更するなどの対処をしましょう。

現代の家づくりと鬼門

ここまで述べてきた通り、鬼門は奈良時代に伝えられた風水からスタートする『家相の思想』です。現在のように水洗トイレや断熱設備などが発展していなかった古い時代に伝え広まった考え方といえます。

住宅メーカーの担当者の中には、「いまどきそんな古い考え方は必要ない」と説明することもあるようです。しかし、いまだに鬼門の思想が風化せずに残っている事実を考えると、家に何らかの影響があると考えるのが自然です。

「鬼門には玄関を作ってはいけない」といわれてきました。これは災いのやってくる方位とされている北東に玄関をつくると、良くない気が家の中に入ってくると考え、それを避けるための言い伝えです。

鬼門・裏鬼門は恐れなくても良い

現代でも実際に北東方位は日当たりが悪く、湿気が残ることによるカビの発生など、住まいが傷みやすいといえます。気温が上がりにくい場所でもあり、浴室やトイレを作るときには、気温差によって引きおこされるヒートショックなどに注意が必要です。

また鬼門の玄関は、冬場の冷たい風が家の中にダイレクトに入ってくることになりますので、断熱対策が必須です。

裏鬼門に当たる南西は、日中は南の太陽の光、夕方は西日が入るため常に暑くなりやすい方位といえます。

ただ、これらの点において、現代の家は断熱性が高くなっていますし、暖房や換気などの機能も充実しているので、対策をしっかりしておけばさほど気にしなくてもよくなっています。

たとえば北東の玄関で寒さが気になる場合は、風除室と呼ばれる風をよけることができるスペースを玄関扉の前に設けることによって、住宅設備で対処するように工夫することができます。南西の玄関であっても、窓の設置位置や遮光器具の設置などによって不快感は取り除けます。このように現代では技術の発展によって、鬼門・裏鬼門と呼ばれ、忌み嫌われる方位に対してむやみに恐れる必要はなくなりました。

家を建てる際に注意すべき鬼門の扱い

現代では、鬼門を必要以上に恐れる必要はありません。それよりも「家にへこみの部分を作る」ことを避けるようにしましょう。「鬼門に何を配置するか」よりも「家の形を良い状態に整える」ほうが重要です。

例えば、以下のような北東にへこみのある家は「鬼門欠け」と呼ばれる形で、家相上良くありません。

家相では家の形状が引っ込んだ部分を『欠け』と呼びます。欠けのある家は、凶相(悪い家相)で悪いことを引き寄せると考えるのです。欠けはどこにあっても良くありません。

特に鬼門と裏鬼門に当たる位置は気の流れが早いため、吉凶の影響が大きく出やすいところです。北東の形状の良しあしは、家族・親・親戚・兄弟・相続などの問題に影響が出ます。へこませず、同時に出しすぎにも注意してください。

欠け(凶相)の形状でなければ、鬼門や裏鬼門による悪影響はありません。逆に北東に張り(バランスの良い出っ張り)があり、家の形が良い状態であれば、親子関係がとても良くなります。鬼門を気にしすぎるよりも家の形にこだわってください。

裏鬼門も同様です。家の形が良ければ全く問題はありません。気になるようであれば、張り出させて吉に転じさせると南西の張りは、信用、信頼が増し、技術力が上がり、努力が報われるなどの恩恵を受けることができます。

まとめ

北東はなぜ鬼門と呼ばれ、その対面に当たる南西が裏鬼門といって忌み嫌われるのかご理解いただけましたでしょうか。

鬼門や裏鬼門であることをむやみに恐れる必要はなく、家の形を整えて配置に気を付ければ問題になることはありません。冷えないように断熱対策をしっかりとしたり、水回りの配置、部屋割りなどをうまく対処することで吉相の家にすることが可能です。

鬼門や裏鬼門の意味と由来を理解することで、惑わされることなく家づくりや対処ができるようになります。ぜひ、ここで述べてきたことを活かしてご自宅を吉相に整えてください。


家相(間取り)が変われば人生が好転する

これまで運がないと感じたり、どれだけ頑張ってもうまくいかなかったりすることはないでしょうか。

例えば仕事であれば、ブラック企業で働いていて収入や休みが少なく、労働時間が長いわりに給料は良くないことがあります。その場合、体が疲れ切っていて調子が悪いです。

また健康であれば、「脳梗塞になった」「がんと診断された」「ヘルニアになった」などを含め、何だか体調がすぐれないことがあります。

家族関係も大きな問題です。夫婦仲、息子、親、兄弟との関係が冷えていると家で過ごすプライベート時間が居心地の悪いものになります。他にも人間関係という意味では、上司・部下、同僚、ママ友、近所づきあいなども関わってきます。

こうした問題を抱えている人の家相・風水を私は長年みてきました。それらに共通することは、どれも家相が悪いということです。例えば仕事運のない人は「仕事で信頼されにくいとされる間取りの家」に住んでいます。健康に問題のある方は「健康を害しやすい家相の家」に住み続けています。

そこで家相(間取り)を変えれば、1年以内にそれまでの人生が好転するようになります。