特に建築関係者の中には、「家相や風水を取り入れると、制限が多くなるため使い勝手の悪い家になる」と考えている人がいます。しかし、これは誤解です。

家相や風水は自然環境と人が調和して、共存共栄していくことを大切に考えています。そのため住みやすく過ごしやすい家づくりのために良いと伝えらている知恵を集めた学問です。家相や風水をうまく取り入れたほうが生活しやすい家になります。つまり家相や風水を用いた家の方が、使い勝手の良い間取りになるのです。

このページでは、「家相や風水を取り入れようとすると、なぜ使い勝手の悪い家になるといわれてしまうのか」「家相や風水にこだわりながら家づくりをする意味」「家相や風水を考慮しながら良い間取りにするポイント」について解説していきます。

使い勝手の悪い家とは何か

そもそも「使い勝手の悪い家」とは、どのような家をさすのでしょうか。これについては、例えば以下のようなものがあります。

  • 玄関の位置が悪く、道路から大回りして入らなければならない
  • トイレやお風呂、台所などの水回りの位置関係が不自然
  • 玄関を入ってすぐ目の前にトイレのドアがある
  • 廊下や壁もなく、リビングからすぐにお風呂のドアがある
  • 日当りの良い場所に水回り(お風呂やトイレ)を集中させている
  • リビングを経由しないと客間に行けない

このように、実際に生活を続けてくうえで、「面倒な手間がかかる」「来客時に困る」など、住人のことを優先的に考えられていない家のことを「使い勝手の悪い家」と表現します。

家相を気にしすぎると悪い家になる?

家づくりを始める際に、まず考慮することとして、土地の形状、高低差、接する道との関係、予算などがあります。

隣接する道がどちらの方位にあるかによって、玄関の位置や駐車場の配置が決まってくるからです。

そこへプラスして、家相や風水を取り入れた良い間取りの家にしようとした場合、考え無くてはならない箇所が増えることになります。たとえばお風呂やトイレなどの「水を使うもの」を配置する方位、キッチンのガス台や暖炉など「火を使うもの」を配置する方位、玄関の位置、建物全体の凹凸(張り欠け)などです。

そのほかにも、カーポートや車庫の位置、門、池、石、灯篭、植栽に至るまで、家相や風水では、家の周辺にも、考慮してほしい基準がいろいろとあります。

これらすべてを理想てきな間取りにできればいいのですが、そこまではできなケースがほとんどです。その理由は、土地の形状や道路の関係などにより、妥協する必要が出てるからです。

ここで隣接する道や土地の形状を無視して、妥協せずに家相や風水にこだわりすぎると、確かに生活しづらい家になってしまう可能性が出てきます。「接する道路から大きく迂回して玄関にたどり着く家」や「玄関を入ってすぐ目の前にお風呂やトイレがあるなど」になってしまうからです。

ただ、このような生活しづらい家になってしまうケースは、家相や風水に関して1つの見方しかできない知識不足の鑑定士にアドバイスをもらったり、自己流で配置を考えたりしたことで招いた結果だと言えます。

隣接する道と土地の形状など、考慮すべき個所を無視して建てた家は、自己中心的な考え方の人が住む家です。そのような家に住むと、運気が上がるどころか逆に運気を下がる家ですから、幸せにはなれないでしょう。

家相や風水を用いた家だと運気が上がる理由

通常の家づくりにプラスして、家相や風水を取り入れることは、実はとても面倒なことです。しかし、そのような手間をかけても、活用したほうが良いとされるのはなぜでしょうか。

ここで少し、家相や風水についての基本的な部分に触れてみましょう。

風水は、約4000年前に中国から入ってきた思想です。また、家相は風水と九星気学(生年月日をもとに吉凶を見る学問)を融合して明治時代に日本で整えられた学問です。

風水は土地の形状などから住みやすい環境を判断し、家相は住人が充実した生活を送りやすい間取りや家の形状を推測するものです。

いずれも太陽の運行を代表とする大自然の営み、季節の移り変わり、温度の変化、大気の流れなど、目に見えないけれど確実に存在するエネルギーと、人とがどのように共存共栄していくかを考えた学問です。

おそらく、家相が整えられた当時の人々は「目に見えないエネルギーを感じる力」が、現代人の何十倍もあったと思われます。

そう考えられる理由は、「時計を見なくても1日の流れが分かった」「季節の移り変わりの判断をカレンダーに頼っていなかった」など、人が大自然の一部として生きていた経緯があるからです。

確かに、現代の生活レベルと家相を整えた当時とは、人間の感性も生活の仕方も全く違います。時代とともに変化している部分を考慮する必要はあるでしょう。

しかし、はるか昔から太陽が東から昇り、西に沈むことは不変です。このように、時代が進化しても変わらない大自然の大きなリズムと気候や風土を活かすことで、風水や家相は生活の大切さを説いています。家相や風水の活用は、自然とともに人間らしい生き方をしていくためのポイントでもあるのです。

理想的な家相の間取りにまとめる7つのポイント

それでは大自然の流れに背かず、むしろ恩恵を受けながら、現代の私たちが住みやすい家づくりをするにはどうしたら良いのでしょうか。これには、以下に示す7つのポイントがあります。

ポイント1 変形した土地、極端に傾斜のある土地、突き当りの土地は避ける

ポイント2 採光と風通しの良い家を心掛ける

ポイント3 基礎は土地が呼吸できる(風通しが良い)ようにする

ポイント4 適度な張り(出ている部分)を作る

ポイント5 大きな欠け(引っ込んでいる部分)を作らない

ポイント6 家の中心に暗がり、階段、中庭を置かない

ポイント7 火気や水回りの配置に注意する

細かい解説は以下にまとめますが、おおまかにこの7つのポイントを押さえておけば、基本的に良い家づくりができます。

7つのポイントの概要

ポイント1「変形した土地、極端に傾斜のある土地、突き当りの土地は避ける」

土地の形状は住む人にさまざまな影響を与えます。なるべく長方形や正方形の建物を無理なく建てることができる土地を探してください。三角の土地に三角の家を建てるとなると、悪い土地に悪い形状の家を建てることになります。

この場合、家の中でも外でも、もめ事の多い生活となります。また、敷地に対して道路が突き当たり(通り抜けができない)、玄関を出た後は一方向へしか行けない土地は、人生が息詰まるなどの作用があるとされますので避けましょう。

ポイント2「採光と風通しの良い家を心掛ける」

気持ちの良い日当りや風通しについては、家づくりの際に誰もが気にするところでしょう。特に家相で考えると東から南にかけての光は上昇していく発展の気を持っています。なるべく東から南にかけては窓を配置し、たくさんの光を家の中に入れるように工夫をしてください。

また家の中央に光が届くような窓の配置を心がけましょう。家の中央に窓のない空間を作ってしまうと、日中でも電気をつけないと真っ暗になってしまいます。こちらの家は家の中央に窓のないキッチンがあるお宅です。

晴れた日でもこのように真っ暗な状態になってしまうため、間取りを決定する際には、窓の配置に注意しましょう。

ポイント3「基礎は土地が呼吸ができる(風通しの良い)ようにする」

多くの住宅は、建物の下一面にコンクリートを敷き詰める「べた基礎」を用いています。しかし、これだと大地のエネルギーが遮断されてしまいます。

人間と同じように、土地も呼吸をしていると家相では考えます。そのため、床下は砂利を敷き詰めるなど通気性の良い構造にしてください。

ポイント4「適度な張り(出ている部分)を作る」

家相は建物全体の形から、重力で見た中心を割り出します。そして、その中心からどこに何があるかを方位で確認し、良い悪い(吉凶)を判断していきます。

その際に、バルコニーやウッドデッキ、出窓などを含めずに、建物の一部に少し出ているところがあると「吉」とし、プラスのエネルギーが働いていると考えます。

ただ、出ている部分の面積を、厳密に考える必要があります。出すぎている場合は逆効果となるからです。

この図のAに対するaのように端から1辺の3分の一以内の幅で張り出させるようにすると良い恩恵を受けることができます。

ポイント5「大きな欠け(引っ込んでいる部分)を作らない」

「ポイント4」の逆で、家の一部が出すぎていることが原因で起こる良くない現象(凶作用)があります。先ほどの図のBに対するbのような形状です。長方形や正方形をベースに考えて、足りていない部分を「欠け」といい、良くない形状と判断します。その欠けの大きさや位置で、どのようなマイナスの現象が起こるかは変わります。

例えば、北が引っ込んでいる「北欠けの家」に住む人は、人間関係づくりが苦手で、家族仲もあまり良くありません。

ポイント6「家の中心に暗がり、階段、中庭を置かない」

家の中央に光の当たらない部屋があることを家相では凶とします。日中の光が当たるべき時間帯に、家の中心が暗い状態にあると、外に出せない悩みや苦労が発生しやすいと考えます。トイレ、収納、階段、廊下などは家の中心に置かないようにしてください。

特に安い家ほど家の中心に階段を持ってきます。階段で使用する柱を活用して家を支える構造にすると、工事が楽でコスト削減にもなるからです。ただ、こうした家では、自分より上の立場にある人との関係性に不満を持ちやすくなります。

ポイント7「火気や水回りの配置に注意する」

火気とは、ガス台、薪ストーブ、暖炉、ペレットストーブなど火を使う設備用具のことをいいます。水回りとは、トイレ、浴室、浄化槽、キッチンです。

火気と水回りは配置の方位によって、凶作用を住人に与えてしまいます。特に健康への影響が大きく出ます。方位は正確に判断してください。

詳し解説は省きますが、最低限北と南方位には火気と水回りは設置しないように気を付けてください。

北は日当たりが悪く、ジメジメしやすい方位です。家相では、北を水の性質が強い方位と考えます。北に水に関するものを置くと、湿気が抜けにくく、カビの発生や設備の耐久性に問題が生じやすくなります。逆に北方位に火を使うものを置くと、火の性質と水の性質がぶつかりあい、アンバランスな状態となります。

同じように、南は太陽の降り注ぐ暑い方位です。そのような南方位に火を使うものを置くと火の要素が強すぎて、ケンカや闘争などのもめ事が発生しやすくなります。血圧も上がることでしょう。逆に、そのような場所に水に関するものを置くと、上記同様、火と水の性質のぶつかりあいとなり相性が悪いです。

まとめ

人間は自然界の中で生かされている存在であり、無視して生活することはできません。

家相や風水は東から太陽が昇り、西に沈む流れや季節の移り変わり、温度や湿度など大自然に背かない生活を送るための知恵を集めた学問です。

ただ、家相や風水で最も良いとされている物事にこだわりすぎると、周辺環境にそむくことになり、運気が上がる家になりません。妥協すべき点は譲りつつ、土地や立地環境を考慮した家づくりを行ってください。そうすることで使い勝手が良く、見えないチカラからの恩恵を受け、運気が上がる家を実現させることができます。


家相(間取り)が変われば人生が好転する

これまで運がないと感じたり、どれだけ頑張ってもうまくいかなかったりすることはないでしょうか。

例えば仕事であれば、ブラック企業で働いていて収入や休みが少なく、労働時間が長いわりに給料は良くないことがあります。その場合、体が疲れ切っていて調子が悪いです。

また健康であれば、「脳梗塞になった」「がんと診断された」「ヘルニアになった」などを含め、何だか体調がすぐれないことがあります。

家族関係も大きな問題です。夫婦仲、息子、親、兄弟との関係が冷えていると家で過ごすプライベート時間が居心地の悪いものになります。他にも人間関係という意味では、上司・部下、同僚、ママ友、近所づきあいなども関わってきます。

こうした問題を抱えている人の家相・風水を私は長年みてきました。それらに共通することは、どれも家相が悪いということです。例えば仕事運のない人は「仕事で信頼されにくいとされる間取りの家」に住んでいます。健康に問題のある方は「健康を害しやすい家相の家」に住み続けています。

そこで家相(間取り)を変えれば、1年以内にそれまでの人生が好転するようになります。